2024.11.14矯正治療中に妊娠したときに気をつけたいこと
こんにちは!
矯正治療中に妊娠がわかった場合、治療を継続できるのかなどご不安に思うこともあるかもしれません。今回は、矯正治療中に妊娠しても治療を続けられるのか、また妊娠したときに気をつけたいことについてお話ししていきます。
矯正治療中に妊娠しても治療を続けられる?
矯正治療中に妊娠しても、治療を継続することに問題はありません。つわりの症状が重い場合や、お口の中に矯正装置があることがつらい場合は、担当医とよく相談し、治療を中断することを検討してもよいかもしれません。体調が落ち着いて精神的にも余裕ができてから治療を再開しましょう。
また、妊娠中の歯科治療では抜歯やレントゲンなど気をつけたほうがいいことはいくつかありますが、矯正治療中に妊娠がわかった場合は既にこれらの治療や検査の段階は過ぎているものと思われます。必要に応じて、担当医に相談するようにしましょう。
矯正治療中に妊娠したときに気をつけたいこと
妊娠中はつわりが重くて思うように歯磨きができないことから、お口のトラブルが増える傾向にあります。また、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が亢進し、平常時に比べて細菌の活動が活発になることからお口の中の環境が変化しやすくなります。
中でも、「妊娠性歯肉炎」には特に注意が必要です。妊娠性歯肉炎の症状は一般的に知られている歯周病とほぼ同じで、歯ぐきから出血したり、歯ぐきに腫れが生じます。しかし、この歯肉炎で気をつけたいのは、早産や低体重児出産のリスクが高まるということです。歯周組織に炎症が起こることで増えるプロスタグランジンという物質が、子宮を収縮させたり子宮頸部を拡張させるような作用をもつからです。したがって、可能な限り毎日の丁寧な歯磨きを心がけ、少しでも症状がみられる場合は早めに治療を進めるようにしましょう。
臨月~出産後の矯正治療
臨月ごろからは、矯正治療をお休みする方がほとんどです。中断期間中に動いた歯が後戻りしないよう、保定装置(リテーナー)をつけていただくこともあります。臨月に入る前に、矯正担当医とよく相談しましょう。
出産後は、赤ちゃんがいる生活のリズムや、ご自身の体調が落ち着いてから治療を再開しましょう。当院では、保育士常駐の託児スペースを生後2週間からご利用いただけます。出産後も安心してご来院ください。
まとめ
今回は、矯正治療中に妊娠しても治療を続けられるのか、また妊娠したときに気をつけたいことについてお話ししました。妊娠中、そして出産後も安心してご通院いただけるようスタッフ一同サポートいたしますので、少しでも不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。
2024.10.11シーラントでお子さまの歯をむし歯から守りましょう
こんにちは!
今回は、お子さまの歯をむし歯から守るシーラントについてご紹介します。むし歯予防として小児歯科で行われる処置のひとつに、シーラントがあります。シーラントとはどのような処置なのでしょうか?
シーラントとは
シーラントとは、奥歯の溝を物理的に埋めることでむし歯を予防する方法です。むし歯を予防する一定の効果があることも数多く報告されており、4年以上で約60%のむし歯を予防する効果があるともいわれています。また、フッ素塗布と併用することでさらに効果が増すという研究結果もあります。
シーラントの特徴
シーラントのメリットと気をつけるべき点を以下にご紹介します。
・シーラントのメリット
奥歯は溝が深いため歯ブラシの毛先が届きにくく、磨いたつもりでも汚れが落とし切れないことはよくあります。小さなお子さまの場合は特に、むし歯になるリスクが最も高い歯です。奥歯の溝を予め埋めておくことで、むし歯になるリスクを軽減できることがシーラントの最大のメリットです。
シーラントは、歯を削ったり痛みを伴うような処置ではありません。処置時間も15~30分程度と短く済むので、小さなお子さまでも安心してお受けいただけます。特に、6歳臼歯といわれている永久歯の生え始めはむし歯になりやすいので、ぜひ歯科医院でシーラントの処置を受けましょう。
・シーラントで気をつけたいこと
シーラントは永久にその効果が続くものではありません。特に奥歯はものを噛んだりする際に大きな役割を果たす歯なので、取れたり欠けたりすることはよくあります。シーラントが取れたり欠けたりしたままにしておくとむし歯のリスクは高まってしまうので、定期的に歯科医院でチェックをしてもらい、必要に応じて再処置するようにしましょう。
また、シーラントをしたから歯を磨かなくても大丈夫!ということではありません。自分では気づかないほどのシーラントの僅かな欠けと歯のすき間からむし歯になるようなこともあります。その場合、残っているシーラントでむし歯が隠され、知らないうちにむし歯が進行していた、ということにもなりかねません。シーラントの処置をしたあとも、毎日の丁寧な歯磨きを心がけましょう。
このように、シーラントはしっかりとメンテナンスをすることでむし歯を予防してくれる大変有効な処置です。ご希望の方は、お気軽に当院までご相談ください。
2024.09.13歯磨きの後のうがい、正しい方法と回数をご紹介します
歯を磨いた後、うがいをしますよね。
このうがいの正しい方法と回数をご存知でしょうか?
市販されている多くの歯磨き粉には、フッ素(フッ化物)が配合されています。フッ素はむし歯を予防してくれる成分で、次のような効果があります。
耐酸性および結晶性の向上
歯の表面のエナメル質は、ハイドロキシアパタイトとよばれる結晶からできています。ハイドロキシアパタイトは酸に弱く、酸により結晶構造が壊されることで、むし歯になります。フッ素の効果により、ハイドロキシアパタイトはフルオロアパタイトという安定した結晶構造に変換されるため、歯質が強化されるのです。歯質が強化されるということは、むし歯へのなりにくさに繋がります。特に、お子さまの乳歯はエナメル質が柔らかいため、フッ素の力で歯質を強化することはむし歯予防効果を期待できます。
抗菌/抗酵素作用
フッ素は抗菌作用が高いため、むし歯原因菌をはじめとする様々な細菌がお口の中で増殖するのを防ぎます。さらに、むし歯原因菌が産出する酵素が歯を溶かす酸をつくる過程を、フッ素がブロックします。
エナメル質の再石灰化促進
脱灰によって歯のエナメル質から溶け出したカルシウムやリン酸が、唾液によって再びエナメル質にとりこまれ、失われた部分を補うことを「再石灰化」といいます。フッ素の効果により、唾液中のリン酸イオンやカルシウムイオンが歯に付着しやすくなり、再石灰化を促進します。
特に歯磨き粉を使って歯を磨いた場合、口の中に歯磨き粉が残らないようにしっかりゆすがなければと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、うがいを何回もしてしまうと歯磨き粉に含まれるフッ素などの有効成分が一緒に流れ出てしまうのです。これでは、せっかくの成分が歯やお口の中に残りません。したがって、うがいは「1回」軽くすすぐ程度で問題ありません。
2024.08.14乳歯が生える時期と順番
今回は、乳歯がいつ、どのような順番で生えてくるのかをご紹介します。
赤ちゃんは生後5~6ヶ月ごろから乳歯が生え始め、1歳~2歳半ごろにかけて20本が生えそろいます。時期や順番が多少前後することはよくあることので、しばらく様子をみても問題ありません。
・生後6ヶ月ごろ
下の前歯(乳中切歯:A)2本が生え始めます。
非常に稀ではありますが、約2000人に1人ほどの割合で、産まれてきた段階で既に歯が生えている赤ちゃんもいます。
・生後10ヶ月ごろ
上の前歯(乳中切歯:A)2本が生え始めます。
・1歳ごろ
上のAの横に乳側切歯(B)が、そしてそのあとに下の乳側切歯(B)が2本ずつ生えてきます。
・1歳半ごろ
最初の奥歯(第一乳臼歯:D)が上から先に生え始めます。
・2歳ごろ
乳犬歯(C)が上から生え始めます。
・2歳半ごろ
二番目の奥歯(第二乳臼歯:E)が生え、これで20本すべての乳歯が揃います。
特に1本目の歯が生えてくる前には、歯ぐきの痛みや不快感から赤ちゃんが不機嫌になったりぐずることもあります。また、違和感を和らげるためにおもちゃなどをかじったり、よだれが多くなることもあります。これらは全て歯が生え始める兆候です。生後5~6ヶ月の赤ちゃんはまだうまく感情を伝えられませんので、これらのサインを知っておくと安心です。
また、1本目の下の前歯が生えたら歯磨きを開始しましょう。いきなり歯ブラシで磨かなくても、指に巻いた清潔なガーゼで拭うところからのスタートで十分です。お口に触れられることや、お口の中にものが入ることに慣れてきたら、乳歯用の小さい歯ブラシを使って磨くようにしましょう。
今回は乳歯が生えてくる順番についてご紹介しましたが、赤ちゃんの歯が生え始める時期や順番には個人差があります。1歳ごろになっても歯が生えてこない場合は、歯科医院で相談するようにしましょう。
2024.07.12気をつけたい子どもの口呼吸
今回は、気をつけたい子どもの口呼吸について原因や対処法をご紹介します。
人は通常、鼻で呼吸をするのが一般的ですが、さまざまな要因から口を開けたまま呼吸をしてしまう口呼吸をする人が増えているといわれています。子どものうちから口呼吸が常態化すると、歯やお口だけでなく全身にも影響を及ぼしかねません。
口呼吸が及ぼす影響
口呼吸が常態化すると、以下のような症状を引き起こす場合があります。
・むし歯や歯周炎のリスクが高くなる
口呼吸が続くと、お口の中が乾燥して唾液が本来もつ自浄作用や抗菌作用が弱まってしまいます。これにより、むし歯や歯周炎の原因菌の動きが活発になり、むし歯や歯周炎になりやすくなります。
・細菌やウイルスに感染するリスクが高くなる
鼻の粘膜や毛はフィルターのような役割をしており、鼻呼吸をすることによって空気が直接体内に入らないようになっています。しかし、口呼吸の場合は空気中の細菌やウイルスが直接体内に侵入するため、感染リスクも高くなります。
・歯並びに影響が出る
口呼吸が常態化すると、舌が本来あるべき位置(上顎の裏側)におさまらず舌の位置が下がるため、上顎が発達しにくくなります。これにより、出っ歯や開咬(上の前歯と下の前歯で上下方向に隙間が生じる)などの不正咬合を引き起こすリスクが高くなります。
口呼吸の原因と対処法
子どもの口呼吸には様々な要因があります。
・鼻づまり
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻が詰まり、口呼吸になってしまうケースです。風邪が原因であれば、風邪が治れば呼吸も改善されることがほとんどですが、アレルギー性鼻炎が長引く場合、口呼吸が常態化してしまうおそれがあります。早めに耳鼻咽喉科を受診し、治療や対処について相談するようにしましょう。
・口周りの筋肉が発達できていない
口周りの筋力が不足していると、自然にお口を閉じることができません。柔らかいものばかりを食べたり、よく噛まずに食事をしていると口周りの筋肉が十分に発達しなくなってしまうため、日頃の食事で気をつける必要があります。
・歯並びや顎の形
歯並びや顎の形によって口呼吸になってしまうケースもあります。例えば、出っ歯(上顎前突)の場合は歯が前に出ていることで唇を閉じることができず、口呼吸になりやすくなります。すぐに解決できる問題ではないことが多いので、まずは小児歯科や矯正歯科を受診し、診断を仰ぐ必要があります。必要に応じて矯正治療も検討しましょう。
口呼吸は子ども本人の頑張りだけでは治らないことも多々あります。根本的な治療のためには、早めに小児歯科や耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。