歯医者で働く、子どもを持つママ達のブログ

2025.04.14子どもの頃に矯正は始めるべきなのか?

お子さまの歯並びや噛み合わせが気になってきたら、歯列矯正を検討なさる方も多いかと思います。子どもの歯列矯正の目的は、顎が正しい方向に成長できるように促し、永久歯が適切な位置に生えるようにすることです。

歯科矯正を子どもの頃に始めることで、様々なメリットがあります。

 

顎の骨が正しい方向に成長する

歯並びや噛み合わせがよくないまま成長期を終えると、顎の骨だけでなく顔の輪郭そのものまでも歪んでしまう可能性があります。これらの歪みは見た目のコンプレックスに繋がるだけでなく、全身の負担から機能面に支障が出ることもあるため注意が必要です。子どものうちに矯正治療を受けて顎の骨を正しい方向に成長させることが出来れば、これらのリスクは軽減でき、さらに発音や滑舌、呼吸にも良い影響をもたらすことが期待できます。

 

お口の中を清潔に保ちやすくなり、むし歯や歯周炎を予防できる

歯並びが整うことで、歯ブラシの毛先が細かい部分にも届きやすくなり、毎日のケアもしやすくなります。毎日の歯磨きが効率的に行えることは、むし歯や歯周炎を予防することに繋がります。

 

抜歯をせずに治療できるケースが多い

成長期である子どものうちに矯正治療を始めることで、顎の骨の成長を促しながら治療を進めることができます。これにより、歯が並ぶスペースをしっかり確保できるため抜歯をせずに矯正治療ができるケースも多くあります。また、成長段階にある顎の骨は完全には固まっていないため矯正治療の効果が現れるのも大人より早いとされており、歯が動く際の痛みも大人より少ないといわれています。

 

成長期に歯列矯正治療を受けておくことで、歯並びや噛み合わせを整えられるだけでなく生涯健康に生きていくための土台作りをすることができます。

矯正治療をご検討中の方はぜひお気軽に当院までご相談ください。

2025.03.14五感を育てる乳幼児期の食事とは

生涯を通して自分の歯で食事を楽しむには、乳幼児期のうちに食べ方、味わい方を学ぶことがとても大切です。口や歯の成長に合わせて食事をするにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?

 

初めての食事は母乳やミルク

赤ちゃんが母乳やミルクを吸う動作は、おなかの中にいるころから既に身についています。指しゃぶりもその一つです。赤ちゃんにとって口はものを感知して認識するためのセンサーのような役割をしています。

 

生後5~6ヶ月頃の離乳食は舌でつぶせる固さから

離乳食をはじめる生後5~6ヶ月ごろは、乳歯が生え始める時期でもあります。離乳食は舌でつぶせる固さのものを赤ちゃんのペースに合わせて少しずつ与えるようにしましょう。母乳やミルクは飲みたいだけ与えます。

 

生後9~11ヶ月頃は歯ぐきでつぶせる固さに

この時期になると手やスプーンを使って食べるような動きへ発達していきます。食べ物による味の違い、固さの違い、食感の違いなど、様々な違いを楽しめるような工夫が五感を育てる食事に繋がります。自分で食べる喜びを大切にしながら、家族で食事を楽しむ習慣をつけましょう。

 

生後12~18ヶ月頃は歯ぐきで噛める固さに

1歳前後になると歯で噛むこともできるようになってきます。歯が生えそろうにつれて固いものも意識的に食事に取り入れることで、食事の食べ方や味わい方を学べるようになるでしょう。1日3回の食事を中心に生活リズムを整えていくことも大切です。

 

乳幼児期の頃から様々な食べ物を経験することで、食事が楽しい時間であるということを伝えられるような食卓づくりを心がけていきましょう。

2025.02.14おやつで気をつけたいこと

子どもにとっておやつは、一日の中でも特に楽しみな時間かと思います。むし歯を予防しつつも、楽しく美味しくおやつを食べるために気をつけたいことをご紹介します。

 

時間を決めて、だらだらと食べない

ものを食べると口の中が酸性に傾き、歯のエナメル質が溶け出しやすくなりますが、唾液の緩衝作用によりまた中性に戻ろうとする力が働きます。しかし、だらだらと食べたり間隔を開けずに何回も間食をするようなことがあると、口の中が中性に戻る前にまた酸性に傾いてしまいます。エナメル質が溶け出すことがむし歯の始まりなので、そのような状況を作り出さないように気をつける必要があります。

 

口の中に残りにくいものを食べる

キャラメルやクッキーのように粘着性の高いお菓子は歯につきやすく、口の中にも残りやすいため、むし歯のリスクが高まります。ゼリーやフルーツのように歯につきにくく、口の中をさっと通るようなものを選ぶと良いでしょう。

 

味覚の形成のために、甘いものや塩味の濃いものは控えめに

人の味覚は3歳頃までに形成されるといわれています。まだ月齢が小さいうちから甘いものや濃い味のお菓子ばかりを食べていると、正常な味覚や健全な脳の発達に影響を及ぼす恐れがあるので特に注意が必要です。

 

おやつは「第4の食事」ともいわれている大切な習慣です。むし歯を予防しながらも、楽しく美味しく食べさせてあげることで、子どもの健やかな成長をサポートしましょう。

2025.01.14妊娠中に気をつけたい「妊娠性歯肉炎」とは?

こんにちは!

妊娠中の方に起こりやすいお口のトラブルに、「妊娠性歯肉炎」があります。今回は、妊娠性歯肉炎の原因や、セルフケアとプロフェッショナルケアについてご紹介していきます。

 

妊娠性歯肉炎の原因

妊娠中は、平常時とホルモンバランスが変わります。エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増えることが妊娠性歯肉炎の原因となります。歯周病原菌の一部はこの2つのホルモンを栄養源として増殖するため、歯ぐきが腫れたり、出血するような症状が出やすくなります。

また、妊娠中はつわりの影響で歯磨きが思うようにできなかったり、食生活が不規則になりがちで、お口のトラブルが増える傾向にあります。

 

妊娠性歯肉炎がもたらす影響

妊娠性歯肉炎は、単に歯肉炎の症状を引き起こすだけではありません。症状が進行すると、サイトカインやプラスタグランジンといった炎症性物質が多く産生されます。これらの物質は、子宮を収縮させたり子宮頸部を拡張させるような作用をもつため、早産や2500g未満の低体重児出産のリスクが高まるのです。

妊娠中に歯周病の症状がある場合、歯周病のない人に比べて、早産のリスクが約2倍、低体重児出産のリスクが約3倍高くなるという研究報告もあります。妊娠中も定期的に歯科検診を受け、急速に歯周病が進行しないようケアをしましょう。

 

妊娠性歯肉炎を予防するセルフケア

妊娠性歯肉炎の予防には、毎日の丁寧なセルフケアも欠かせません。

できるだけ丁寧に歯磨きをすることが最も大切です。つわりなどで歯ブラシを口に入れることが難しい場合は、洗口液を活用したり、子供用の歯ブラシやワンタフトブラシなどヘッドの小さいものを使ってみるなどの工夫をするとよいでしょう。

歯肉炎を予防するための歯磨きの基本は、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに動かすように磨くことです。力を入れすぎないように気をつけ、1箇所につき10往復は磨くようにしましょう。

 

妊娠中も定期的なプロフェッショナルケアを

妊娠中のどの時期であっても、歯科医院でのプロフェッショナルケアは受けられます。つわりがひどい場合や臨月近くで長時間仰向けになることが難しい場合を除き、体調と相談しながら受診するようにしましょう。

妊娠中も丁寧なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアで、お口の健康を維持しましょう。

2024.12.13子どもの指しゃぶりは歯並びに影響する?

こんにちは!

今回は、子どもの指しゃぶりと歯並びの関係、また、指しゃぶりをやめるタイミングや声掛けについてご紹介します。子どもが指しゃぶりをしていると歯並びが悪くなる、と聞いたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

指しゃぶりと歯並びの関係

指しゃぶりとは、指を上の歯の裏側(口蓋)に押しつける仕草です。中には、お母さんのお腹の中にいる頃から指しゃぶりをしている赤ちゃんもいます。指を押しつける力によって、上の前歯は上前方に、下の前歯は後下方に圧迫されます。

3歳以降も日常的に指しゃぶりをしていると歯並びに影響を及ぼすことがわかっており、次に挙げるような「不正咬合」を引き起こす原因になるといわれています。

出っ歯(上顎前突)
上の前歯に対して強い圧力がかかって前歯が前方に傾斜することを、出っ歯といいます。

開咬
奥歯を噛み合わせても、上下の前歯に隙間ができて咬みあわない状態を開咬といいます。前歯で噛むことができないため、奥歯の負担が大きくなるほか、発音や咀嚼、顎の発育などにも影響を及ぼします。

狭窄歯列弓
指を吸う力により歯列全体に圧力がかかり、歯列が狭くなることを狭窄歯列弓といいます。歯列が狭窄すると歯が生えてくるスペースが不足し、歯並びに影響しやすくなります。

 

指しゃぶりをやめるタイミングと声掛け

乳児期の指しゃぶりは生理的なものとして見守っていても大きな問題はありません。3歳ごろには指しゃぶりをやめられるよう、少しずつ気をつけていきましょう。

子どもは環境の変化に対する不安やストレス、寂しい気持ちを紛らわせるために指しゃぶりをするともいわれています。ちょうど3歳頃は入園などで環境が大きく変わるタイミングでもあり、一度はしなくなった指しゃぶりを再びするようになる子どももいます。

指しゃぶりの行動そのものを叱りつけてしまうと、それがストレスとなりかえって逆効果になる場合もあるため、子どもの不安やストレスを取り除けるような環境づくり、こまめなコミュニケーションを心がけましょう。一緒に目標を達成できるような前向きな声掛けなども効果的です。

このように、指しゃぶりは歯並びに影響を与える可能性があります。無理のない範囲でやめられるように促し、それでも難しい場合は歯科医院に相談しましょう。