小児歯科
乳歯の歯並びと生える時期
生える時期
乳歯は上下あわせて全部で20本あります
- A:6〜8ヶ月
- B:8〜10ヶ月
- C:1年6ヶ月〜1年8ヶ月
- D:1年4ヶ月〜1年6ヶ月
- E:2年〜2年6ヶ月
予防処置
フッ素塗布
フッ素は、簡単に言うと、歯の質を強くする働きのある物質です。ダイコンや魚、お茶などにも含まれている身近な元素で、体を構成する大事な物質の一つです。
現在では、水道水中にフッ化物を適量添加し、公衆レベルで虫歯予防を行っている国も増えているほどです。
フッ化物は定期的に(年に2~3回)歯に塗ることで歯の質を強くし、虫歯になりにくくする効果があります。特に生えたばかりの時期(乳歯、永久歯とも)は効果が大きいので、是非この時期にはフッ化物塗布をお勧めします。
サホライド塗布
サホライドはフッ化ジアンミン銀溶液のことです。
溶液に含まれる銀イオンに虫歯の進行を抑える働きがあります。
大きな欠点として塗布した部分が黒くなることが挙げられます。
ですから、虫歯治療が困難な幼児に対して使用する程度です。
虫歯になってしまった歯に作用させますので、予防処置とはいえないかもしれませんが、積極的な虫歯治療ができないお子さんに進行止めの意味で使いますので、ここに入れています。
シーラント
奥歯の溝に薄いプラスチックをつめて虫歯を予防する方法です。
歯を削ることなく行えますので、歯医者が初めてのお子さんでもできる簡単な処置です。
手順
子供の歯に関するQ&A
- Q1. 乳歯はいつ頃できる?
- 妊娠初期の7~10週で乳歯の原型は20本全てできています。その後妊娠4~6ヶ月くらいで「石灰化」といって歯が硬く作り上げられていきます。
お母さんのお腹の中にいる間に乳歯は全てできあがっているのです。 - Q2. 母乳がよいわけは?
- 新生児が感染を起こさないような成分が多量に含まれていますので、母乳で育てたほうが病気にかかりにくいといわれています。
また、哺乳の始まりは母子関係の始まる時期で、子供の社会性や対人関係に大きな影響を与えると考えられています。スキンシップを得る意味でも、出来る限り母乳を与えるようにしましょう。 - Q3. 授乳方法で気をつけることは?
- 生後6週間は母乳で育てるようにしましょう。乳が出やすい哺乳ビンを使っていると、口腔周囲組織が運動不足になり、口腔機能の発達が望めなくなります。
母乳を与えることができない時は人工乳でもかまいませんが、砂糖を入れないようにしてください。
哺乳ビンを使っての授乳は1歳くらいを境にやめさせるのがよいでしょう。それ以後の使用は子供の自立心の発達を遅らせる原因になるからです。
哺乳ビンをくわえたままでないと子供が寝つかないというお母さんもおられますが、その使用方法が最も虫歯を作る原因になるので、子供が嫌がっても悪い習慣はできるだけすぐにやめましょう。 - Q4. 母乳は虫歯の原因になるの?
- 母乳に含まれる糖分は乳糖といって、それだけではプラークができません。また母乳のpHは6.8で歯が溶け始めるのがpH5.5以下ですから、母乳だけでは虫歯にならないと考えられています。
(pH・・・・水素イオン濃度指数 値が小さくなるほど酸性度が強くなる)
問題は離乳食に含まれている糖分です。食べかすをきれいにとりのぞかないまま母乳を与えると、プラーク中の細菌が母乳の乳糖から酸をつくり歯を溶かすというわけです。 - Q5. 乳歯はなぜ虫歯になりやすいの?
- まず永久歯と比べて歯の質が軟らかく虫歯菌に対する抵抗性が低いからです。それに加え、生えたばかりの乳歯は他の歯よりも背が低く食べ物がつまったままになりやすいという点もあげられます。
歯というのは生えてからゆっくり時間をかけて唾液中のカルシウムを吸収し強くなっていくのです。
ですから、未成熟な乳歯は非常に虫歯になりやすい環境におかれているわけです。 - Q6. 乳幼児の時期のブラッシングはどうすればいいの?
- 最初は歯ブラシではなく、ガーゼやコットンでやさしく汚れをふき取ってあげてください。
この時期は、赤ちゃんは何でも口の中に入れようとしますので、歯ブラシをおもちゃ代わりに与えて歯ブラシに慣れさせるのも効果的です。食事が終わったら歯ブラシを持たせるなどして自然とそれが習慣になるようにします。
この時期は歯磨きに慣れるのが目的です。1歳くらいから実際に歯ブラシを使い始めてゆきます。歯磨きする時は子供をあお向けにし、頭をひざの上に乗せ、頭の上から口の中を覗き込むようにして、1本1本丁寧に磨いてゆきます。子供によってはなかなかブラッシングさせてくれませんが、歌を歌ってあげたり、お母さんも一緒にブラッシングしたり、うまくできたら褒めてあげたりして心地よい雰囲気をつくってあげることで次第にできるようになってくるでしょう。
できないからといってブラッシングをやめてしまうと、虫歯を作る原因になったり、「いやがればやめてくれるんだ」と子供に思わせることになってしまいます。乳幼児期の口の中の状態は全て母親に依存しているといっても過言ではありません。根気よく頑張ってお子さんの歯を守ってあげてください。 - Q7. 虫歯になりやすい子供となりにくい子供の違いはあるの?
- 歯や唾液の質、歯の生える時期や歯並びの状態などそれぞれの子供によって遺伝的な要因はありますが、一番大きな影響を与えるのはブラッシングがしっかりできているかどうかです。虫歯菌にとって糖分は最適な栄養となり、それを食べてネバネバしたプラークをつくり歯を溶かしていくのが虫歯です。
ですから、プラークが歯に引っ付いている時間や糖分の存在時間が長ければ長いほど虫歯になりやすくなってしまうのです。虫歯になりやすい子は、常にモグモグお菓子を食べていたり、歯磨きをきちんとしない子がほとんどです。おやつの時間を決め、食べた後はしっかり歯磨きする習慣をつけましょう。 - Q8. 治療が難しい子の虫歯治療は?
- チェアーで暴れる、泣きわめく、口をなかなか開けないなどいろいろなお子さんがおられますが、保護者の方の許可や協力があれば、おさえつけてでも治療は可能です。それが無理な場合、虫歯の部分にサホライドを塗って進行を抑えながら経過観察を行い、歯医者に慣れてきた頃に少しずつ虫歯を削る練習を繰り返し行います。慣れるまでは来院の度にブラッシングしたり、口の中に水を出したり、歯に風を当てたりして機械に対する恐怖心をなくしていきます。
そのときに大事なのが、ステップをクリアした時のお父さんお母さんの「上手にできたねぇ」というほめ言葉です。それを繰り返しているうちに大抵のお子さんは治療ができるようになります。
治療が難しくなる原因に、普段の親の甘やかしや歯医者を懲罰の対象とすることがあげられます。
「そんなことをしてると歯医者に連れて行くよ」みたいなことを言うと、子供は歯医者を自分を叱る人だというイメージを持ってしまいます。
子供がスムーズに治療に入るためには、親の皆さんの協力が不可欠です。 - Q9. 子供の歯ぎしりの治療法は?
- 歯ぎしりの原因としてストレスや精神的不安などが最も可能性の高いものとして考えられています。
子供の場合、弟や妹ができて母親の関心が自分以外に向いたり、保育園や幼稚園に入って社会性を学び始めると子供ながらに対人関係でうまくゆかなかったり、仲間はずれにされたりしたことなどがストレスとなって歯ぎしりすることがあると考えられています。
お子さんにそういう兆候がみられたら精神的なケアをしっかりとしてあげてください。