高濃度ビタミンC点滴
ビタミンCとは?
ビタミンCと聞くと、レモンに含まれる美容と健康にいい栄養素ということをほとんどの 方は思い浮かべられると思います。
ビタミンは全部で13種類あり、水に溶けやすい水溶性ビタミンと水に溶けにくい脂溶性ビタミンに分けられます。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、アスコルビン酸とも呼ば れています。
ビタミンCには強力な還元力があるため代表的な作用として抗酸化作用があげられます。
人は自分の体でビタミンCを作ることができませんので、必ず食事から摂取しなければい けません。
しかし先にも述べたように水溶性という性質の上、熱や光に弱いため調理や加 工などでほとんどが失われどうしても不足しがちになる栄養素です。
ビタミンCが不足すると…
15世紀から始まる大航海時代に200万人もの船員が命を落とした壊血病という病気は長らく原因が不明でしたが、18世紀になりジェームス・リンドという医師が、オレンジやレモンを摂取した船員は壊血病にかからないことを発見しました。
壊血病はビタミンCが欠 乏することにより発症することが分かったのです。
アスコルビン酸には「壊血病を防ぐ 酸」という意味があります。
- 壊血病の症状
- 3‒12か月に及ぶ長期・高度のビタミンC欠乏により、脱力や体重減少、鈍痛に加え、皮膚・ 粘膜・歯肉からの出血、歯の脱落、傷が治りにくい、古傷が開くなどの症状がみられる。
なぜ点滴なの?
厚労省が勧める1日のビタミンC摂取量は100mgで、これはレモン5個分になりますが、この量は壊血病にならない最低量です。
経口摂取(食事やサプリメント)の場合、ビタミンCの血中濃度には限度があります。頑張って経口摂取しても1日1000mgくらいが限度ですし、たとえそれ以上に摂取できても血中濃度は上がりません。ビタミンCは小腸から吸収されますが、酸化しやすいという性質があるため、身体の隅々に行き届くまでに効果が減少してしまいます。
しかし点滴の場合は、ビタミンCを直接血管内に注入するので、ビタミンCを酸化させることなく、血液中のビタミンC濃度を急激に上げることができ、短時間で全身に行き渡らせることが可能です。内服では得られない、強力な抗酸化作用が期待できます。
ビタミンCの効果
1抗酸化作用
酸化とはサビることですから、簡単に説明すると「体のサビ止め」効果です。
ヒトの体 はサビていくと疲れやすくなり老化が進行します。
また生活習慣病や心血管疾患・ガンな どの病気にかかる可能性が高まります。サビの原因は活性酸素と言われるもので、「全て の疾患は活性酸素で説明がつく」と言われるくらい毒性の高いものです。ビタミンCはそ の活性酸素を取りのぞいてくれる嬉しい効果があります。
これにより疲労回復効果・アンチエイジング効果・抗ガン効果が期待できます。
2美白・美肌効果
ビタミンCはシミの原因であるメラニンの生成を抑えます。さらに皮膚の主要な成分であるコラーゲンの合成に不可欠な栄養素ですので、シワを減らし肌の凸凹をスムーズにしてくれます。
また弾力の元となるヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞を増やしますのでプリプリの肌につながります。ニキビ予防やアトピー改善効果もあります。
3抗ストレス効果
副腎という臓器をご存知ですか?
様々なストレスに抵抗するためにコルチゾールという抗ストレスホルモンを分泌し私たちの体を守ってくれている臓器です。副腎は体の中で最もビタミンCを必要とする臓器です。ビタミンCは副腎の機能を正常にしストレスに負けない体を作るために欠かせません。ストレスには緊張や不安などの精神的なものや寝不足、過労、暴飲暴食、喫煙などの肉体的なものも含まれます。
ストレスの多い現代人に とって不可欠な栄養素とも言えますよね。
4免疫力アップ
ヒトの身体には体内に侵入した細菌やウイルスと闘う免疫機能が備わっています。
その中でも重要な役割を担う白血球やリンパ球にはたくさんのビタミンCが含まれています。ビタミンCが豊富にあると白血球やリンパ球が元気になり、免疫力や抵抗力がアップすることがわかっています。
高濃度ビタミンCを受けている人は、風邪やインフルエンザにほとんどかからないというデータもあります。風邪のひき始めにも効果があります。
5抗アレルギー作用
アレルギーとは、本来私たちの身体に害にならないものに対して過剰に反応して起こっ てしまう免疫反応のエラーです。
その結果、痒みや痛みや炎症などが現れますが、これらはヒスタミンという物質がひきおこしています。ビタミンCはヒスタミンの分解を促進し血中濃度を下げますのでアレルギー症状が緩和されます。ビタミンCの摂取量が多い人はヒスタミンが少ないというデータもあります。
高濃度ビタミンC点滴 歯科領域へのメリット
歯医者で点滴?と思われる方も多いと思います。お口は身体の器官の一部です。
身体のほとんど全ての組織はビタミンCを必要としており、特に口腔内組織はコラーゲンが基本構造となっています。ビタミンCはコラーゲン合成に欠かせない栄養素ですので、口腔内、とりわけ歯周組織の健康維持に重要です。
また全身的な要因で口腔疾患が起こっている場合 (炎症体質やミトコンドリア機能低下など)、それらの要因に対して改善作用が期待できます。
- 口腔内疾患は組織の酸化が進んでいます。抗酸化作用で傷ついた組織の回復を促します。
- 歯肉を健康に保ち、歯肉の腫れや出血・歯周病予防に効果があります。
- メラニン合成を阻害し口唇や歯肉の色調を改善します。
- 抜歯後やインプラントなどの外科手術後の治癒を促進します。
- 口腔ガン(舌ガン、歯肉ガン、口唇ガンなど)の予防効果があります。
高濃度ビタミンC点滴の副作用
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- 点滴穿刺部位の痛み
- 点滴の速度を調整したり穿刺部位より上部を温めることで解消できます。
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- のどの渇き
- 点滴前に水分を摂るあるいは点滴中でも水分を摂ることが可能です。
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- 冷や汗、震えなどの低血糖症状
- 点滴前に食事をしておくことをお勧めします。
高濃度ビタミンC点滴を受けられない方
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- 透析中の腎不全の方
- ビタミンCは腎排泄のため適しません。
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- 心不全の方
- 水分貯留が症状悪化につながります。
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- 胸水、腹水貯留、むくみの強い方
- 点滴で水分を血管内に入れるので、身体の水分が過剰になってしまい、症状が悪化することがあります。
慎重投与が必要な方
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- 糖尿病で自己血糖測定してインシュリンの注射量を決めている方
- 高濃度ビタミンC点滴療法終了後の数時間は、簡易血糖測定器では血糖値が高値になります。
これは見かけ上高いだけで、実際の血糖値はもっと低い値になります。高血糖と間違えて過ってインシュリン注射をするとインシュリン・ショックを起こします。
点滴後8時間以上経過してから簡易血糖測定を行うようにしてください。
使用しているビタミンC注射液
当院ではドイツ製の パスコルビン を使用しております。
なぜわざわざ海外製を使用するかというと、国産のものは防腐剤が入っているため高濃度のビタミンC点滴液には適さないからです。
パスコルビンはEUで唯一承認された点滴用ビタミンC製剤で、世界最高級の品質を誇り、ヨーロッパで高濃度ビタミンCといえばパスコルビンのことを指します。
50年の臨床実績があり癌治療にも使用されている信頼性の高い注射液で、防腐剤などの 有害物質が一切入っていませんので安心して使用できます。
点滴料金
- 1回
- 1万2千円(税込)