歯周病と糖尿病について その2
2020年05月31日
前回の続きです。
糖尿病になるとどのような症状が出てくるでしょうか。
糖尿病は血管病とも言われ、全身の血管を破壊していく病気です。
血液の中に糖分が溢れると血管が傷つき、詰まり、スムーズに血液が流れなくなります。
体のすみずみまで栄養や酸素を運ぶはずの血液が滞るわけですから、全身の様々な臓器に悪い影響が出てくるのは容易に想像できますよね。
血管が老化すると以下のような合併症が生じます。
①神経障害 手足の末梢神経がダメージを受け、しびれが出たり痛みを感じなくなるなどの症状が現れます。
②網膜症 目の毛細血管が傷つき、視力の低下や視野の狭窄などを引き起こしひどい場合は失明します。
③腎症 腎臓のろ過機能が低下し老廃物が体に溜まりやすくなり、むくみや疲れやすさ・呼吸困難・吐き気・貧血などの尿毒症の症状が現れます。
④末梢動脈疾患 糖尿病性足病変とも呼ばれており、足の変形や感覚低下、ひどい場合は潰瘍ができたり足の組織が死んでしまう足壊疽を引き起こしたりします。
⑤脳心血管障害 脳梗塞や脳出血などの脳卒中、狭心症や心筋梗塞などの心臓病を引き起こします。
上記の①②③は細小血管障害、つまり細い血管の障害で、④⑤は大血管障害による症状です。
そして 第6の糖尿病合併症と言われているのが歯周病なんです。
歯周病は歯を支える歯周組織(歯肉・歯槽骨・セメント質・歯根膜)が破壊されていく病気です。
症状としては歯茎から出血した、膿が出た、歯がぐらぐらする、歯の根が見えてきたなどですが、これがどうして糖尿病と関係があるのでしょう。
歯周組織は極めて血管豊富な組織で毛細血管が張り巡らされています。
先ほども糖尿病は血管病だと説明した通り、糖尿病で歯周組織の循環障害が起こると、当然必要な栄養分や酸素の不足が生じます。
それが歯周組織の免疫力の低下を引き起こし、感染に対する抵抗力を弱めてしまいます。
それと大事なことがもう一つ
酸素が不足すると都合のいいヤツらがいるんです。
それが歯周病菌です。
歯周病菌は酸素が嫌いな『嫌気性菌』なので、糖尿病の方の口の中は歯周病菌にとって居心地がいい住処になってしまっているのです。
次回は歯周病と糖尿病の相互関係をもう少し詳しくお話しします。