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歯周病と糖尿病について  その3

2020年06月26日

 

糖尿病 → 歯周病  

前回で、歯周組織が酸素や栄養不足に陥ると歯周病菌が繁殖しやすい環境になるというところまで説明しました。

糖尿病になると全身の免疫力が低下するので歯周病菌と十分に闘うことができません。

さらに唾液の分泌量が低下しますので洗浄作用、抗菌作用が低下し、口の中の細菌の増殖を抑えることができません。

ですから糖尿病があると、歯周病菌に感染しやすくなり歯周病が重症化していきます。

 

歯周病 → 糖尿病

加えて重要な点として、歯周病が糖尿病悪化の危険因子になるという逆の作用もわかってきました。

歯周ポケットの中にいる歯周病菌に対して、体は免疫細胞を送り込んで退治しようとしますが、

その時にサイトカインという化学物質が大量に作られます。

このサイトカインという物質が、インスリンの働きを邪魔するのです。

インスリンの働きが邪魔されるとどうなるでしょうか?

インスリンは血糖値を下げるたった一つのホルモンでしたよね。

それが邪魔されるわけですから、血糖値のコントロールができなくなり、高血糖状態が続くわけです。 

つまり
高血糖状態が続く = 糖尿病  ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すなわち慢性炎症としての歯周病の存在により血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。

歯周病と糖尿病の間には、このように非常に嬉しくない相互作用が起こってしまいます。

 

治す方法は歯周病治療!

しかし! 諦めなくても大丈夫です!
歯周病の治療で糖尿病の症状が改善するということもわかってきています。

歯周病の治療とは、患者さん自身のブラッシングによりプラークコントロールをしっかり行うこと(セルフケア)と、歯医者に行って歯周病の原因となっている歯石や歯周ポケットを取り除くこと(プロフェッショナルケア)です。

そうすることで歯肉の炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、多くの臨床研究で報告されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


歯周病が第6の糖尿病合併症であることを提唱したのが、医師ではなく歯科医師だったという事実はほとんど知られていません。

医科は検査値で人を診る傾向が強いのに対して、歯科は視診と触診で口の中を診ます。

この違いが、糖尿病患者の口の中の異変に気付き「第六の合併症」という気付きをもたらしたのだと思います。

 

3回にわたって、歯周病と糖尿病の関係についてお話しさせていただきました。

皆さんの、病気に対する正しい理解や治療に対する動機づけになれば幸いです。

お口の健康は、全身の健康と密接に関係しています。

治療やお口のメンテナンス これからもしっかり頑張っていきましょう!

 

 
今回の内容は
にしだわたる糖尿病内科 西田亙先生著
「歯科医院に知ってほしい糖尿病のこと」から一部引用しています。

 

 

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