歯がしみるのはなぜ? その1
2021年03月29日
こんにちは、勤務医の森と申します。
桜も散ってしまいましたが、春らしい、いい季節になってきましたね。
最近は気温の高い日もあるので、
『アイス食べたい』
なんていうことも、あるのではないでしょうか?
アイス食べると歯がシミることありますよね。
僕もたまにシミます。が、虫歯ではない(ハズ)です。
生きている歯でちょっとシミるくらいなら、特に問題はありません。
けれど、歯磨きでシミる、甘いものを食べるとシミるなどの症状になると、日常生活にも支障を来すようになってしまいます。
ではなぜ歯がシミるのでしょうか?
今回はこれを説明したいと思います。
まずは歯の構造です。
歯の頭の部分(歯冠)の構造です。
①一番外側がエナメル質
人体の中でも一番硬い組織です。
この部分で噛み切ったり噛み砕いたりと、直接食べ物に接する部分になります、
通常ならば!!
②内側が象牙質
これも結構硬いですが、エナメル質ほどではありません。
なぜならば象牙細管という細い管がたくさん走っていたり、コラーゲンが含まれていたりするからです。
③最も内側が歯髄
いわゆる歯の神経と言われる部分です。
前々回の歯の豆知識で市場院長が詳しく解説しておりますので、是非是非読んで見てください。
では例えば歯磨きでシミるという場合、どこにブラシが当たってシミるのでしょうか?
エナメル質・・・おかきを噛み砕けるくらいの組織です。シミることはないので大丈夫です。
歯髄・・・・・・歯髄に直接ブラシが触れるのであれば大問題です。シミるどころではありません。
ということで、象牙質にブラシが当たるとシミが生じるという場合が多いです。
様々な原因で象牙質が口腔内に露出していると、そこからシミが生じます。
ちなみに歯の根っこ(歯根)の構造はというと、
外側から、セメント質、象牙質、歯髄となっています。
しかしセメント質はエナメル質とは違い、そんなに丈夫ではありません。
歯根と骨を結びつけることが大きな役目で、象牙質を守るという意味では弱いのです。
歯周病などで歯肉がやせて歯根が露出すると、セメント質は剥がれ落ちてしまいます。
すると象牙質が剥き出しになってしまい、シミの原因になってしまいます。
では、象牙質の構造をもう少し詳しく見てみましょう。
象牙質には象牙細管という細い管がたくさんあります。
この管は象牙質の内側から外側まで繋がっていて中には水分が詰まっています。
象牙細管の内側の出口には神経細胞がくっついています。
で、象牙質の外側に冷たいものが来ると、象牙細管の中の水分も冷えてほんの少し収縮します。
すると内側の神経細胞が引っ張られて痛みに変換されます。
あったかいものが来ると、水分がほんの少し膨張して、神経細胞が押されて痛みに変換されます。
甘いものがくると水分の浸透圧が変化し、ブラシが当たると水分が動き、神経細胞で痛みに変換されます。
これが知覚過敏が起こるメカニズムです。
次回は、知覚過敏のお話をもう少し続けさせてもらおうと思います。