インプラントの基礎知識 その2
2021年08月16日
こんにちは、院長の市場亮志です。
先月に引き続きインプラントの基礎知識についてお話しします。
インプラントの治療手順は?
インプラント治療にはまず2回の手術が必要になります。
まず、骨の中にインプラント体(フィクスチャー)を埋める手術(一次手術)、そしてフィクスチャーが骨と結合した後に、歯肉を貫通させる装置をとりつける頭出し手術(二次手術)を行います。
二次手術が終わって歯肉が治ると被せ物の作成に入ります。型採り用の装置を取り付けて型採りを行い、その型からアバットメント(土台)と被せ物を作成します。今では型採りも進歩して、以前は粘土のような材料を使って型を採っていましたが、特殊なカメラでスキャンしてデータを3次元で取り込む光学印象という方法も当院では取り入れています。
そして、フィクスチャーの上にアバットメントを固定し、その上に被せ物を装着して完成です。アバットメントと被せ物が一体化したものもあります。どちらにするかはケースにより判断します。
以上が大筋になりますが、最初にフィクスチャーを埋めることができるだけの骨がない場合は、まず骨を造る手術が必要となり、骨ができてから一次手術、二次手術と進めることになります。
インプラントの治療期間は?
骨の量に問題がない場合は、一次手術から被せ物の完成まで6ヶ月ほどです。
十分な骨がない場合は、骨を作ってからのスタートになりますので1年ほどはかかります。
骨が全然ない上に、欠損歯数が多くインプラントの埋入本数が多い場合は全て治療が完了するのに2年以上かかることもあります。
当院での平均的な治療期間は8ヶ月くらいです。
インプラント治療ができない人はいますか?
上にも述べた通りインプラントには手術が伴いますので、手術後に問題がおこる可能性のある全身疾患を持っている方はインプラント治療をすることができないか、あるいは難しくなります。
ただ、全身疾患があっても適切な治療が施されていれば治療が可能になることもあります。
リスクがあるとされる全身疾患は以下の通りです。
糖尿病 血糖値が160mg/dl以下 HbA1cが7,0以下にコントロールされていない場合
高血圧 血圧がコントロールされていない場合
心疾患 心筋梗塞は治癒後最低でも半年は不可
肝疾患 異常出血やウイルス感染、創傷治癒不全など問題多数
腎疾患 免疫力低下、出血しやすいなどの問題あり 透析されている方は不可
骨粗鬆症 ビスホスホネート製剤服用の方は不可
それから全身疾患ではないですが、重度の歯周病の方や喫煙者もインプラント治療ができません。まず歯周病を治してから、禁煙できてからインプラント治療の開始になります。
インプラントは利点の多い治療法ですが、費用がかかり治療期間が長いことが欠点です。
そして、全身疾患や歯周病の有無などの環境的な要因にしっかり対処してから臨まないと満足な結果が得られません。ブリッジや入れ歯のようにほぼどんな方でも可能というわけではないのも欠点かもしれません。