仮歯ってどういうもの?
2021年10月14日
こんにちは、勤務医の森です。
「仮歯ってどんな感じ?」
たまーにこんなことをおっしゃる患者様がいらっしゃいます。
『仮歯、白くてキレイやし、ずっとこれやったらあかんの?』
いや~、仮歯はあくまで仮のものなので、そうはいかないんですよ~、
ということで、今回は仮歯がどんなものなのかお話したいと思います。
仮歯を入れる目的は
◯見た目を維持する
◯噛み合わせを維持する
◯歯の保護
などなどです。
◯見た目を維持する
例えば前歯を治療中の場合、歯がなかったり削ってあったりすると、見た目が気になる方も多いと思います。
仮歯を入れることで、『歯抜け』の状態にならないようにします。
◯噛み合わせを維持する
歯科の治療中であっても、人間は毎日食事をします。
奥歯などの治療中で噛める場所が減ると食事がしにくくなります。
仮歯を入れることで、噛み合わせを維持し、お食事しやすいようにします。
◯歯の保護
神経の生きている歯に被せ物を入れる場合は、剥き出しのままだと歯がしみたり痛んだりしやすいです。仮歯を入れうことで歯を保護して痛みにくくします。
他にも
◯歯が動かないようにする
◯歯茎の状態を整える
といった理由もあります。
こういった目的で仮歯を使ってもらっています。
しかし、あくまで仮のものなので材料としては最終のものと比べると劣ります。
ビッカース硬さというものでは
仮歯の材料 10~20
エナメル質(歯の外側の部分) 300くらい
ジルコニアセラミックス 1300くらい
曲げ強さというものでは
仮歯の材料 70~80
エナメル質 80~90
ジルコニアセラミックス 1000くらい
という感じで、
最終の被せ物と比べると仮歯の材料はあまり強くありません。
あまり長く使っていると、すり減って薄くなり、かむ力で割れてしまう、あるいは外れてしまうこともあります。
また、材質的に汚れがつきやすかったり、水分を吸収するので黄ばんできたりもします。
このように欠点は多いのですが、治療を円滑に進めて行くことを考えると仮歯は大変重要なものです。
歯がない、噛むところがないといった状態を避けることができます。
そのために、一時的な物として使ってもらっている感じです。
では実際に仮歯を作る過程をお見せします。
仮歯の材料はレジンという名前のプラスチックで、粉と液を混ぜると固まります。
左が液で、右が粉です。
写真では液をつけた筆で粉を集めてお団子状にしています。
石膏で作った歯の模型を削って、歯を『被せ物を入れる前』の形にしています。
そこに先程のお団子状の材料をドーンと盛ります。
少し固まってきたら外して、固まったら形を整えます。
写真は形を整えて模型に戻したところです。
これは実際に使う仮歯ではありませんが、手順は実際通りです。
あまりいい出来では無いかもしれませんが、これをさらに患者様のお口の中で調整を行い、仮歯として使っていただくことになります。
ということで今回は仮歯のお話をさせていただきました。