親知らずについて
2021年11月19日
今回は親知らずについてお話しします。
皆さんもご存知の通り、親知らずは上下とも一番奥から生えてくる歯のことです。
もともと親知らずがない人もいますが、あれば大体20歳前後で生えてくることが多いです。
よく考えたら「親知らず」って歯と全然関係ないネーミングですよね。
学生の時に親知らずの語源について当時の先生に聞いてみたところ、「子供の頃は親が口の中チェックしたりするから、どこどこの乳歯が抜けたとかわかるけど、高校生くらいになったら親もいちいち管理せんやろ。親が知らん間に生えてくるから親知らずや」と教えてもらって、「へぇそうなんか」と思った記憶があります。
僕自身が親知らずの語源について聞かれた時もそう答えてましたが、ちょっと調べたところどうやら他の語源もあるみたいです。
その語源というのが、昔の日本人の寿命と関係がありまして、
昔は平均寿命が短かったので、この歯が生える頃には親が亡くなっていることが多かったため
「親知らず」
という名前がついたそうです。
なんかこっちの方が昔から使われている感じでしっくりくるかもしれませんね。
親知らずには 智歯 という呼び方もあります。
英語では wisdom tooth と呼ばれているんですが、
※wisdom は知恵・賢明という意味
どちらも、「物事の分別がつく年頃になって生える歯」という意味からきています。
親知らずの正式名称は 第3大臼歯 です。
我々の遠い祖先は第3大臼歯まできれいに生えていたようですが、食べ物の硬さや食生活の変化などで徐々に顎が小さくなり、それによって第3大臼歯も退化傾向にあると考えられています。
もともと親知らずがない場合や大きさ自体が小さい、或いは形が変形しているケースなどは、その退化傾向の影響だと思われます。
退化傾向を示す器官はそれ自体が不要なものになってきたことを意味すると考えられているので、現代人にとってもう第3大臼歯は必要なくなってきているんでしょうね。
なので、親知らずが生えるスペースもなくなってきているので、生える途中で止まってしまったり、最初から横向きでほんの少しだけ頭がでていたり、骨の深い位置で埋まったままということが多々あります。
そうなるとよくあるのが、親知らず周囲の清掃不良による痛みや腫れです。
智歯周囲炎といって、歯茎の痛みや腫れ、飲み込む時の痛みなど、嫌な症状を引き起こします。
完全に歯茎の下に隠れている場合はあまり問題ありませんが、写真のように傾いて止まってしまっている親知らずは、食べかすなどのよごれが詰まりやすく、細菌が繁殖して問題をおこすことが多いです。
ですから食べるたびにものが挟まる、変な臭いがする、しょっちゅう痛むなどのトラブルにつながってくるようですと抜いてしまった方がいいわけです。
次回は親知らずの抜歯について説明させていただきます。