親知らずの抜歯
2021年12月10日
前回に引き続いて親知らずについてお話しさせていただきます。
親知らずの抜歯についてよくある質問をまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。
1、親知らずは抜いた方がいいんですか?
親知らずの状態によります。ちゃんと生えて噛み合わせも問題なく清掃状態も良好なら抜く必要はありません。
あと歯茎の下に完全に隠れているような親知らずで、痛みや腫れなどの症状もない場合も抜かなくてもいいことが多いです。
ただ矯正治療を考えている場合で、親知らずがあることで歯並びを悪くする原因になりそうな時は抜いた方がいいです。
親知らずを抜いた方がいい場合というのは、ほとんどが智歯周囲炎をおこしている場合です。前回の豆知識でもご説明したように、中途半端な状態で傾いて止まってしまってる親知らずは、歯磨きが十分にできず食べかすや細菌が停滞するため痛みや腫れなど不快症状の原因になります。
そしてそういう親知らずを放っておくとその前の健康な歯まで虫歯や歯周病になることがあるので、早く抜いた方がいいでしょう。
2、抜いたあと痛いですか?
これは抜くのにかかった時間や、切開の量や骨削除量などの要因や、抜歯後の注意事項を患者さんが守っていただくかにもよります。
時間をかけることもなくすっと抜けた場合は痛みも腫れもほとんどありません。上の親知らずに多いパターンです。
ただ下の親知らずでこういうパターンは珍しく、ほとんどが歯茎を切開したり、親知らず周囲の骨を削ったり、親知らず自体を分割したりしますので、時間がかかるケースが多くそれなりに痛みや腫れがでると思ってもらった方がいいですが、通常は抜歯後に抗生物質と鎮痛剤をお出ししており、ほとんどの方はその効果で痛みは抑えられます。
患者さん側の要因としてはドライソケットが多いです。
抜歯後に抜いた部分が気になって舌で触ったりしていると「血餅」という血のかたまりがとれてしまって、いわばかさぶたをはがすような状態になってしまうことがあります。そうすると本来なら血餅で満たされているべき部分が何もないただの穴のようになってしまいます。これをドライソケットと呼び、痛みの原因になりますので、抜歯後はできるかぎり触らないようにしてもらったほうがいいです。
3、抜歯後の不快症状を抑える方法はありますか?
基本的に抗生物質と鎮痛剤をお出ししていますが、もっと腫れがでないようにするために、抜歯した部分に抗炎症作用のあるステロイド注射を打つことができます。
この効果で炎症反応がおさえられ、腫れや内出血も目立たなくなります。
親知らずの抜歯の際にこちらからお聞きしていますが、ほとんどの方が希望されます。
さらに特殊な方法として、CGF療法という方法も取り入れています。
これは抜歯前に採血させていただいて、血液を遠心分離器にかけ、血液の中の傷を治す成分を濃縮して取り出し、それを抜歯した部分に詰めて縫合するという方法になります。
術後の痛みを抑え治癒を促進させるというメリットがありますので、非常にオススメです。
1、採血
2、遠心分離後CGFを取り出す
3、抜歯後の傷口に詰める
4、縫合
どちらの方法も他の歯科医院ではとりいれていない所がほとんどですので、親知らずの抜歯の際は是非当院にご来院くださればと思います。