口呼吸と虫歯の関係
2022年10月16日
こんにちは
医)いちば歯科医院 院長の市場亮志です。
今回は『口呼吸と虫歯の関係』についてお話しします。
「口呼吸の人は風邪をひきやすい」とよく言われます。
これは本当のことで、鼻呼吸だと鼻毛や粘膜がウイルスの侵入を防ぐことができますが、口にはウイルスの侵入を防ぐ機構が備わっていません。
そのため、ウイルスの侵入を防ぐことができず、結果として風邪をひきやすくなってしまうのです。
口はもともと、呼吸のための器官ではなく、消化のための器官です。
そのため、口呼吸をすることで、体にさまざまなデメリットが生じてしまいます。
口呼吸は、歯など、口腔内にもデメリットを引き起こします。
大きく分けると、以下の2つがあります。
①虫歯や歯周病になりやすくなる
②口臭、歯の着色を引き起こす
それでは、それぞれのデメリットについて紹介していきます。
①虫歯や歯周病になりやすくなる
口呼吸をすることで口の中が乾燥し、歯周病菌や虫歯菌が繁殖しやすくなり、唾液で洗い流されることもありません。
そのため、口の中に菌がどんどん増えてしまい、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
実は虫歯を引き起こすのは、虫歯菌が出す「酸」です。
この酸は非常に強く、歯を溶かしてしまうため、歯が脆くなっていきます。
この歯が脆くなった状態のことを「脱灰」(だっかい)といいます。
そして最終的には歯の表面に穴をあけてしまい、虫歯になってしまいます。
一度、虫歯になってしまったら、その歯が元通りになることはありません。
歯科医院で、悪くなってしまった部分を削り、プラスチックの詰め物等で形を整えるしかないのです。
しかし、穴が空く前の「脱灰」の状態なら修復することができます。
これを「再石灰化」(さいせっかいか)といいます。
唾液が虫歯菌の酸を中和するため、歯は「脱灰」を止めて「再石灰化」へと向かって行きます。
唾液の中には、歯の主成分であるミネラルが含まれているため、それを使って歯を修復することができます。
②口臭、歯の着色を引き起こす
口腔内が正常な状態は常に唾液が出て潤っています。
人は1日に、1L~1.5Lもの唾液を分泌しています。
口呼吸をしていると、口の中の唾液が乾いてしまい、口臭や歯の着色が起こってしまいます。
唾液は、実は様々な役割を果たしてくれています。
口の中を滑らかにして喋りやすくしたり、でん粉を分解したり、食べ物に混ざることで飲み込みやすくしたりする役割があります。
また、分泌された唾液が喉へと流れていくことで、汚れを洗い流し、口の中を清潔に保つ役割もあるのです。
唾液が力を発揮できるのは、濡れた状態の時です。
乾いてしまった状態だと、本来の役割を果たせません。
口呼吸だと、唾液が乾燥して役割を果たせず、雑菌が殺菌されず、汚れが口に残ってしまい、口臭や歯の着色が起こってしまいます。
また、口呼吸することで、鼻呼吸の人よりも口臭が強く感じられてしまいます。原因は常時、口腔内から風が排出される為、口臭が強く感じられてしまうのです。
最近では、口呼吸対策グッズなども販売されています。
さまざまな疾患から身体を守るため、口呼吸の方は、直すための工夫をしてみてください。